住まいの長所と短所の研究室
長期優良住宅の長所・良いところ
２００年住宅と基本的に同じ内容で、この長期優良住宅が正式な呼び名となります。
モデル事業を公募して、長持ちすることが予想される優秀な住宅には補助金がつく制度もあります。
単に耐久性が高く長持ちするだけでなく、断熱性能の高さなども要求されます。
長い期間、同じ住宅に住むことができれば、建て替えの回数を格段に減らすことが出来るので、建て替えに伴うコストやエネルギー消費を削減できます。
その結果、木材の輸入を減らすことにもなり、地球温暖化の予防策にもなります。
また２００年周期くらいで起こる大地震にも耐える様に丈夫な構造とするので、大地震の際にも安心です。
特に傷みにくい住宅なので、住まいの持つ本来の強さを長い間保つことができます。
仕上材料の面でも長期間劣化が少ない 上質な材料を使用する（はず）ので、より快適な暮らしが期待出来ます。
設備を新しくリフォームしやすく作っているので、後々のメンテナンスについても、比較的簡単になります。
その上に断熱性能が高い住宅なので、冷暖房にかかる光熱費を減らすことができます。
長期優良住宅の短所・悪いところ・欠点
長期優良住宅とはいっても、１０年毎から２０年毎くらいにメンテナンスが必要です。
一般的な住宅でも、しっかりした作りの住宅なら、２０年毎にきちんとメンテナンスを行なうことで２００年くらい持たせることは十分可能なのです。
長期持たせることと断熱性能を高めることを両立させることが前提の制度なので、メンテナンスの容易さや実際の耐久性には疑問が生じます。
特に温暖地域で高い断熱性能を保ったまま耐久性を高めることは、相当に難しい事なのです。
構造部分の合板については、２００年持つとは考えられません。
金属部分の結露による木部の腐敗、合板の接着剤の耐久性などを考えると、２００年持たせるのは至難の技です。
この構造部分を交換すると、相当な大工事になります。
もし構造部分に交換が必要なら、長期優良住宅と呼ぶには大きな疑問となってしまいます。
最近の住環境の変化を考えると、１００年後の生活は想像すらできません。
２００年後になったら、現在行なわれている古い民家の再生と同様に、大掛かりな近代化を行なわない限り、快適な住まいとはいえない可能性もあるのです。
林業の植林のサイクルは５０年から８０年程度が理想的です。
現在の日本の植林状態としても、かなりの量が余っている状態です。
仮に木材の輸入が無くなっても、国内で使用する木材には不足しない程に生産過剰な状態なのです。
林業を活性化するには、８０年サイクルでの建て替えが理想ともいえます。
日本特有のシロアリの問題を考えると、あまりに長く住宅を使いすぎると、シロアリ被害に気が付かずに、住まいが危険な状態となる可能性すらあります。
そこで住まいに必要な樹木の成長はそこそこ早いという点も考慮に入れた、住まいの寿命期間の設定が必要でしょう。
温暖化が進めば、シロアリの被害は確実に増えるのです。
長期優良住宅は、２００年を掲げた住宅政策の限界を隠すための名称としか思えません。
さらに住宅の断熱性能を高めることが前提ということで、テーマが見えにくくなってしまっています。
そもそも、乾燥して樹木の生長が遅い（木材が傷みにくい）外国の住宅と同じ以上の目標に設定すること自体に、大きな疑問があるのです。
アメリカの乾燥した地域では、住宅に使用する木材の傷みは相当遅くなります。
またヨーロッパでは、新築が建てにくい都市計画が存在するという現実も、考慮する必要があるでしょう。
本当に住宅を長持ちさせたいならば、新築住宅の税金を安くすること自体が大きな矛盾です。
新築の税金を高く設定し、リフォームした際に掛かる税金を格段に安くするほうが、住宅を長く使うことにつながるはずでしょう。
本当に住まいを長持ちさせることを考えるのなら、新築よりもリフォームに目を向ける努力が必要です。
長期優良住宅の認定を受ける内容には、定期的なメンテナンスも含まれます。
リフォームやメンテナンスを行いやすい住宅ローンや税制の整備を行い、新築住宅を適度に規制する都市計画を策定することのほうが、住まい自体を長持ちさせる長期優良住宅制度よりも有効なのです。
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住まいの長所と短所の研究室 はリンクフリーです。 2010年10月16日更新