伝統工法の長所・良いところ
日本の伝統工法とは、日本古来の木造の作り方です。
古いものでは1300年以上昔に建てられた法隆寺が有名ですが、しっかりした作りの民家にも200年程度経過している建物が残っているのです。
伝統工法とは、日本の風土に適した、木材の特徴を最大限に生かすことができる住まいの作り方ともいえるのです。
差し鴨居や足固めなど、構造の強度を確保する部分が目立たないので、開放的な住まいを作ることができます。
漆喰や土壁を使用すれば、現代でも話題となる湿度の調節機能や空気を浄化作用もあります。
石の上に乗せただけの柱には、地震に対する免震効果もあります。
地震や台風の際の建物自体の揺れは大きいのですが、変形しても構造の強さが落ちにくいので、粘り強い構造なのです。
伝統工法の短所・悪いところ・欠点
伝統工法の大きな弱点は、隙間風による断熱性能の悪さと作る大工さんに技術が必要な点、さらに確認申請が困難な点です。
隙間が多くなる木造の建具を使ったり、床下や天井裏に隙間が多くなる作り方なので、断熱性能が悪くなります。
比較的夏の暑さに適応した作りとなるので、冬の隙間風による寒さは気になるところです。
現代の技術を使えば断熱性能を向上させることは容易ですが、そうすると伝統工法の良さも減少してしまうのです。
また作る大工さんにも、ある程度の技術が要求されます。
最近の在来工法の住まいしか作ったことがない大工さんでは、伝統工法の住まいを作ることは困難です。
実際に工事を行う際に、伝統工法の技術を持った大工さん探しが問題になるのです。
本当の伝統工法だけで住まいを作ることは、現在の建築基準法ではかなり困難となります。
貫や足固めの強さが過小に評価されていたり、構造計算に対する計算のチェックにも、お金と時間がかかってしまうのです。
伝統工法の強さに対する評価が難しいために、住宅を建てる際に必要となる確認申請を通すことも難しくなってしまうのです。
伝統工法の長所は、真面目に作ってあれば長持ちする、健康に良い住まいになるという点です。
現実に古い民家は100年くらいは普通に持ちますし、化学製品をほとんど使用しないので、健康的な住宅になるのです。
問題は作りにくいことです。
大工さんの技術や確認申請の問題があるので、本当の伝統工法を作ることは困難となり、かなり妥協した作りとなってしまいます。
断熱性能が低い点も問題ですが、夏場はクーラーの使用を減らすことが容易ですし、暖炉などを使えば冬の暖かさも問題ないはずです。
木造の伝統工法は、作り手や住まい手を選ぶという点が一番の問題点かもしれません。
在来工法よりコストがかかり、住まい方にも好みや慣れが要求されるのです。