建築基準法

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建築基準法の長所・良いところ

安全な住まいを建てる為には、建築基準法が必要不可欠といえます。
特に地震や台風に対する安全性などについては、この基準法がないことには適切な判定すら出来ないのです。

住まいに要求される最低限の基準が記載されているので、この建築基準法に適合した住まいを建てていれば、住まいに要求される最低限の性能を満たすことが出来ます。
採光やシックハウス対策なども盛り込まれているので、建築確認の必要がない地域でも、参考となる基準となります。

建築基準法の短所・悪いところ・欠点

基本的に50年以上昔に制定された法律です。
当然細かい部分は新しくなっていますが、もはや戦後ではありません。
しかも住まいを建てるシステム自体が、大工さん主体からハウスメーカーや建築家へと、大きく変化しています。
近年の急激な国際化などに対応した、新しい法規が望まれる時期なのです。

細かい部分にまで規制があるので、新しい工法や材料を使用できるようになるまでに時間がかかりすぎます。
必要な性能を確保することが大切なのであって、法規に記載されるまで使用できないという現状は、問題が多すぎるのです。
毎日のように新製品が生まれてくる住まいの業界では、個々の製品に対する法整備は現実的に不可能なのです。
満たすべき基準に適合していることを認定する手段を強化する方が、よっぽど現実的なのです。

法規が細かい内容を規制しすぎているので、現実的な不都合に対する規制が働きません。
建築基準法では合法だった、個室ビデオ店での火災による被害などが良い例です。

大きな地震にも耐えた、伝統的な民家の作り方は、現代の法規では否定されています。
仮に作ろうとしても、大きな変更が必要か、違法建築となってしまうのです。
構造面でも、小さな住宅なのに計算のチェックに費用が掛かりすぎる(書類作成も含めると数十万円)という現実があるのです。
これは伝統文化に対する否定にも等しいものといえるでしょう。

法改正が5年毎の改正を基本としている点も問題です。
法規の改正時点で大問題があっても5年間もそのままなのですから、その間は混乱が続くのです。
5年後にまともな法規になっても、その時には変な法規に住まいの作りが適応してしまっているので、また混乱が生じてしまいます。

法の改正に期間を設けている時点でおかしなものです。
長い間に変わらない分野もあれば、インターネットや携帯電話などのように急速に変化する分野もあるですから、現実に応じた法改正の期間を設定するべきでしょう。

建築基準法は、文章で全てを規制しようとしていること自体に大きな問題があります。
住宅の姿を的確に言葉で表現するほど難しいものはありません。
しかし、どんな住宅という表現をすれば、大抵、形が思い浮かぶはずです。

法規に必要なことは、どんな条件を満たすべきかを規定することです。
細かい作り方を規制するのではなく、満たすべき性能を規定することが重要なのです。

構造計算偽装事件以前は、ようやく その満たすべき性能を規定する方向に建築の法規の改正が進んでいました。
しかし事件以来、逆に異常とも思える細かい規制が続々と追加され、時代に逆行してしまったのです。

犯罪者を捕まえるには違反者に対する罰則と捜査する機関が重要なのに、法の規定を厳しくしてしまった点が問題なのです。
包丁で殺人が起きたらからといって、包丁の販売を許可制にするようなことは現実的ではないはずです。
飲酒運転で事故が発生した件では、免許取得を厳しくするのではなく、罰則と取締りを強化したので効果を得たのです。

このずれた認識による法改正が、建築基準法では顕著に生じてしまっています。
また法自体の古さも非常に目立ちます。
現在の建築基準法は、根本的な部分から新しく作り直すことが必要な時期に来ているといえるでしょう。

設計図面 建築基準法 住宅性能表示制度 重要事項説明


   住まいの長所と短所の研究室 アイコン  住まいの長所と短所の研究室 はリンクフリーです。                    2010年10月18日更新

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