ALC版の長所・良いところ
ALC版は、小さな気泡を含んだ板状のコンクリートのことです。
中に細い鉄筋を縦横に入れることで、補強してあります。
材料の厚みは35mmから150mm程度ですが、住宅では37mmくらいの製品を使うのが一般的です。
鉄骨構造の建物では、床下地として使われることもあります。
気泡があるのでコンクリートより軽く、断熱性や耐火性に優れます。
特に断熱性の高さは、最近の高断熱志向の住まいには大きなポイントとなります。
ALC版は既製品なので、製品の性能や寸法が安定していることも特徴です。
取り付けて隙間をコーキングするだけで済むので、コンクリートより工事が早く済みます。
材料に厚みがあるので、彫りの深いデザインが可能となります。
陰影が出来るので、より立体的な外壁として見せることも出来るのです。
ALC版の短所・悪いところ・欠点
ALC版は、水を吸いやすいという弱点があります。
いったん水を吸ってしまうと劣化が早くなるので、表面の防水処理が欠かせません。
その表面の防水層の寿命が、ALC版の寿命にも影響します。
表面の仕上が不可欠なので、その仕上材の寿命によってALC版の寿命にも影響を与えることがあるのです。
断熱性能がコンクリートより高いとはいえ、一般的な充填タイプの断熱材より かなり劣ります。
そこで住宅に使用する場合は、一般的な断熱材も必要となります。
また水を吸ってしまうと、断熱性能も低下します。
ALC版は耐火性能としては高いのですが、薄いサイディングなどより壁の重量が大きくなります。
その為地震などの際には不利となる可能性もあります。
ALC版は外壁材としては、コストが高めになります。
サイディングより複雑なつくりとなるので、製品の価格は上昇してしまうのです。
欠き込むことが出来る寸法が決まっているので、パネルの割付の為に、窓の位置が制限されたりすることもあります。
また窓のサイズなども制限を受けたりすることもあるので、内部の寸法に細かいこだわりがある住まいには採用しづらいのです。
ALC版は、住宅用の外壁材としては、かなり微妙な建材です。
木造に使用する場合は重さが耐震性の面でネックになりますし、開口部の位置が制限されやすい点も弱点となります。
鉄骨造に使用する場合は、サイディングとの価格差が弱点といえるでしょう。
ALC版のポイントは、耐火性能と工期を短く出来る点です。
この二つが特に必要な住宅であれば活用するチャンスはありますが、それ以外の住宅では積極的に採用する理由が少なくなってしまうのです。